穏やかな風のそよぐ温暖な土地、愛知県豊橋。
当店でも定番の、あさつゆという品種を使用した紅茶の作り手から、今年は新たな紅茶を入荷。
おおいわせという品種を使用した新しい紅茶は、環境の偶然により特徴的な風味を帯びている。
ここ数年、毎年各地で異常気象とも言われる気候変動の影響が茶葉にも反映されているが、この茶葉は春先の一番の芽(葉)にウンカという虫が付いた(芽葉の葉液を吸った)もの。
ウンカという虫は、通常暖かくなった二の芽が伸びてくる前後の、初夏の時期に多く現れるのだが(気温の高い地域はそうでない場合もある)、今年は作り手の茶畑に早い時期から現れ、その影響で一番茶の柔らかさにウンカが付いた芽葉特有の甘い蜜の香りを発している。
おおいわせのまろやかな味わいに、フレッシュなプルーン(西洋酸桃)に蜂蜜をかけたような甘い香り。
作り手の茶葉特有の、苦渋味の少ないさらりとした飲み心地も手伝って、紅茶らしい風味ながらさらさらゴクコクと飲める紅茶に仕上がっている。
店主自身、近年の気候の不安定さをどのように捉えるべきか戸惑う。
そして従来の気候変化以上にイレギュラーな対応が必要とされる不安定さの中で、作り手たちが真摯に茶葉と向き合い、素晴らしい紅茶を作り出していることにただ感心しながら、それを小さな当店を訪れた方々にご提供できることが素直に嬉しい。
当店で是非、日本の紅茶の醸し出す風味を、心静かにお楽しみいただけますように。
作り手のあさつゆ紅茶も程よく熟成した新しい風味のものに切り替わっております。
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